老犬の食事改善事例
老犬の食事改善事例|シニア期に合わせたごはんで元気を取り戻した話
老犬になると、同じフードを続けていても「食いつきが落ちた」「便がゆるい」「体重が減った/増えた」「毛ヅヤが悪くなった」など、体の変化が目に見えて出てくることがあります。ここでは、実際によくある悩みをもとにした食事改善の事例を紹介します。
注意:腎臓病・心臓病・膵炎・糖尿病などの持病がある場合、自己判断の食事変更は危険なことがあります。症状が強い、急激な体重変化がある、嘔吐や下痢が続く場合は、必ず獣医師に相談してください。
事例1:食いつき低下と体重減少(14歳・小型犬)
相談内容:ここ数か月で食べムラが増え、体重が少しずつ減ってきた。病院では大きな異常は指摘されないが、加齢による筋肉量低下が心配。
改善前の食事
- 成犬用ドライフードを長年継続
- おやつが多め(食べない時に追加)
- 水分摂取量が少ない
見直したポイント
- シニア用(高消化・適度な脂質)へ切り替え
- ドライをぬるま湯でふやかして香りを立てる
- たんぱく質は「量を増やす」より消化しやすさを優先
- おやつは回数と量を減らし、食事に寄せる(フードをトッピング扱いにしない)
実施した変更(例)
- 1日2回 → 1日3回の少量頻回
- ふやかし時間は5〜10分、温度は人肌程度
- トッピングは少量の茹でささみ・無糖ヨーグルト等を週数回(体調を見て)
結果
2〜3週間で食べムラが軽減し、体重が緩やかに安定。便の状態も整い、朝の散歩での動きが少し軽くなった。
事例2:便がゆるい・おならが増えた(12歳・中型犬)
相談内容:軟便が続き、においも強い。食欲はあるが、食後にお腹が鳴ることが増えた。
改善前の食事
- 高たんぱく・高脂質のフード
- 急なフード変更を繰り返していた
- 食べ残し対策でトッピングが日替わり
見直したポイント
- 消化器に配慮したフード(低脂質・高消化)へ
- 切り替えは7〜14日かけて段階的に
- トッピングは一旦中止し、原因を絞り込む
- 食物繊維は増やしすぎず、便の様子を見ながら調整
実施した変更(例)
- 1〜3日目:新フード25%+旧フード75%
- 4〜6日目:新フード50%+旧フード50%
- 7〜10日目:新フード75%+旧フード25%
- 11日目以降:新フード100%
結果
1週間ほどで便が形になり、においも軽減。食後の不快そうな様子が減り、夜の落ち着きが改善した。
事例3:体重増加と関節の負担(13歳・小型犬)
相談内容:散歩量が減り体重が増加。段差を嫌がることが増え、関節への負担が心配。
改善前の食事
- 以前と同じ量のフードを継続
- 家族がついおやつを与える
- 活動量の低下に食事が追いついていない
見直したポイント
- カロリーの見える化(1日の必要量を計算し、計量スプーンではなくキッチンスケールで計測)
- 低カロリーにするだけでなく、筋肉維持を意識した栄養設計へ
- おやつは「ゼロ」ではなく、フードから差し引く運用に
実施した変更(例)
- フード量を一気に減らさず、1〜2週間ごとに5〜10%ずつ調整
- おやつは1日分を小袋にまとめ、上限を固定
- 散歩は距離よりも、無理のない範囲で回数を増やす
結果
1〜2か月で体重が緩やかに減少し、動き出しがスムーズに。関節への負担が軽くなったことで、散歩の拒否が減った。
老犬の食事改善で押さえたいチェックリスト
- 食いつき:急な低下は歯・口腔トラブルや内臓疾患の可能性も
- 便:硬さ・回数・色・においの変化を記録
- 体重:週1回の測定で早期に気づく
- 水分:ふやかし・ウェット併用などで摂取量を増やす工夫
- 切り替え:基本は7〜14日、体調次第でさらにゆっくり
まとめ:老犬の「今」に合う食事へ少しずつ更新する
老犬の食事改善は、特別なことを一気にやるよりも、消化のしやすさ・水分・量の調整などを小さく積み重ねる方がうまくいくことが多いです。変化を記録しながら、その子の体調と生活に合う形へアップデートしていきましょう。
気になる症状がある場合は、食事の工夫とあわせて獣医師に相談し、必要に応じて検査や療法食も含めた最適な方法を選ぶのがおすすめです。



















